のんびりゲーム記

クリアしたゲームの感想や備忘録。ネタバレ満載です。

58.英雄伝説 界の軌跡

今回は界の軌跡です。2024年10月20日にクリア、プレイ時間はハイスピードモードも駆使して56時間程でした。

 

・歴代シリーズキャラがいっぱい!

待ちに待った軌跡シリーズ最新作で、黎の軌跡Ⅱの続編です。

ptw828.hatenablog.com

主人公は変わらず裏解決屋のヴァンであり、物語も前作エンディングから数カ月後スタートの完全地続きである今作ですが、タイトルは【黎Ⅲ】ではなく【界】なんですよね。

何故なのか…?と考えた時に頭に浮かぶのは、やはり歴代シリーズの主要キャラクターが今まで以上に多く登場し、物語に深く関わってくる点でしょうか。

ヴァン達が行動する同時刻、共和国内の別の場所で活躍する軌跡シリーズおなじみのキャラクター達を操作することが出来るのが今作の大きな特徴かと思います。前作でもsideA、Bに分かれての操作パートはありましたが、それ以上にがっつり各パートの物語が独立し、かつ本筋に関わっているという点では創の軌跡と近いイメージですね。

物語はヴァンと裏解決屋メンバーを主軸に、閃シリーズのリィン率いるトールズ組、そして空シリーズから久しぶりに登場したケビン神父+ルーファス率いるピクニック隊の3つの軸で進んでいきます。

序章でいきなりリィンやケビン神父が登場し、更には個人的に一番楽しみにしていた結社のカンパネルラと今作から初登場する執行者の二人の会話があったりと、シリーズファンには嬉しすぎる展開に初っ端からテンションが上がりまくりました…!

 

基本軸は3つに分かれているものの、色んなところで歴代キャラと裏解決屋メンバーのやりとりを沢山見ることが出来たのは、やはりシリーズファンとしては嬉しい限りですね。ただ、私のようなシリーズ愛好家には嬉しい仕様の半面、今まで以上にプレイヤーを選ぶ作品になってしまっているのも確かです。

黎シリーズから入った人はリィンやケビン達の存在や空シリーズの頃から登場する結社の計画についてなんかは何のこっちゃ状態だと思うし、逆に空や閃シリーズから飛んで界をプレイする人は裏解決屋メンバーのことや共和国の内情を全く知らない状態だし…。

一応前作、前々作のダイジェストムービーや歴代キャラクター紹介等が用意されているので過去作をプレイしていなくても遊べなくはないですが、やはり物語の解像度を上げたりやキャラクターへの愛着を持つ意味でも、過去12作品(+できれば那由他も)すべてをプレイしてから挑んでほしい作品です。

 

・ストーリー

今作の舞台は黎シリーズおなじみのカルバード共和国です。導力ロケットを宇宙に打ち上げるという有史以来初の試みが発表され、全世界が共和国の動向に注目を集めている状況。この宇宙進出【スターテイカー計画】にはアニエスのパパことグラムハート大統領が掲げる導力ネットの拡大や不毛地帯となりつつある大陸東部への対策という表向きの目的の裏に、何か大きな狙いがあるようで…?

また、宇宙騒ぎの裏では全世界で行方不明事件が増加したり、怪しい仮面集団が暗躍したり、前作までは大人しかった(一部除く)結社の計画進行も本格化したりと、表の世界も裏の世界も非常に慌ただしくなります。

そんな混乱の中でヴァン、リィン、ケビンを中心とする3チームが共和国でそれぞれの目的のために色んな方面から動く群像劇的な内容です。ゲームの流れとしては、今までと同じように4SPG(サブクエ)をこなしつつ情報を集め、物語を進める感じ。

 

ヴァンは序章でリィンやケビン達と軽く顔合わせはしますが、それ以降は基本的にこの3つのルートは最後まで交わることはありません。

結社によって乗っ取られた黑の庭城という仮想空間では全員集合しますが、現実世界では各チームが秘密裏に重大な事柄に迫っており、またそれぞれがその事実を察してか深入りした会話も少なかったです。

群像劇RPGでよく見る「1つの最終地点に各方面からアプローチして最後には協力して悪を倒そう!」みたいな分かりやすい流れではなく、最終目的がすべて異なり、中には主要キャラ同士での対立や命のやりとりすら見られたこともあってか、3つのチーム間に少し溝を感じられるのがなんか新鮮でしたね。

各チームのシナリオ中のやりとりや黑の庭城での他愛ない会話など砕けた笑いを誘うシーンも沢山ありましたが、全体的に終始シリアスが目立つ緊張感のある雰囲気だったように思います。

 

 

 

・結末(以下ネタバレ)

今作ではシリーズ通しての重大な事柄からキャラクターの秘密まで、非常に多くの新情報が明らかになりました。いや本当に色々ありすぎて、いまだに頭がこんがらがってる…。

結論から言うと、スターテイカー計画には当然裏があり、真の計画名【レーヴァテイン計画】の目的は宇宙に存在する【刻の至宝】を破壊することだそう。ここでやっと今回の至宝の存在が明らかになりました。

刻の至宝はおよそ1200年周期で世界をリセットするというとんでもない代物で、グラムハート大統領はその【グランドリセット】を食い止めるためにこの計画を実行しますが結果的に失敗します。どうなるんだこれ…とドキドキしていると大統領の補佐官でありヴァン、エレインの幼馴染であるキンケイドが急に独自に動き出し、グレンデル化し、そしてヴァン達とのラストバトル。

…この怒涛の展開に啞然としすぎて正直ラストバトルの記憶がほとんど無いです(笑)

 

ボスの腹心が最後に裏切る(今回は裏切りではないけど)展開はよくあるし、PVに出ていた白いグレンデルも来てないな~なんて思ってもいましたが、まさかその正体かつラスボスがキンケイドとは全く予想してなかった!!!

キンケイドはヒロインであるアニエスやハミルトン博士と通じ、計画が失敗した際の"保険"として、大統領にも秘密で動いていました。この保険はアニエスを犠牲に行われるものらしいので、アニエスを守るために一人の父としてレーヴァテイン計画を進めてきた大統領にはそりゃ言えないよね。

当然アニエスも裏解決屋メンバーにこのことを秘密にしており、止める仲間達を無視して事を進めます。ヴァンが一人で問題を抱え込むことにはあんなに怒っていたのに……。

アニエスは女神のような姿になり、グランドリセットの実行と共に力を発動。人々は光に包まれ、何が何やら分からないままエンディング。

 

黎2作はスッキリとした終わり方だったので、軌跡名物えっここで終わり!?なエンディングはヴァンが主人公になってからは今作が初めてだったりします。そして次作がヴァンが主人公の最後のシリーズだということも明記されていました。

アニエスはどういう存在になったのか、人々に一体何をしたのか、世界はリセットされたのか、そもそも次作はどういう状態からスタートするのか…すべてが謎に包まれたまま界の軌跡は終わりました。

アニエスの力で人々は保存されていた?ような感じだけど、リセットも行われたっぽいし…?メタ的にもキャラクターは続投だからヴァン達は登場するとして、記憶は保持しているのか?同じ登場人物で、もう一度同じ歴史を辿るのか??だとすると、このタイミングで空の軌跡リメイクが来ることにも意味があるのかとかも色々考えてしまいます。

 

いずれにせよ、次回作が待ち遠しすぎる終わり方ですが真実を知れるのは何年先になるのやら…。とりあえず、やり込み要素が控えめだった黑の庭城と合わせて本作のアップデートに期待です。

57.END ROLL

今回の作品はフリーゲームのEND ROLLです。

2024年9月9日にクリア、プレイ時間は(ぼちぼち寄り道をして)8〜9時間程でした。

※本作は残虐な描写が多数あるので、プレイ推奨年齢は15歳以上になります。

 

・どういうゲーム?

町やダンジョンを探索したりターン式の戦闘があったりするRPG作品です。

本編は割とサクッとクリア出来ますが、隠しキャラが仲間になったりサブクエストがあったり寄り道要素が多く、短いですがキャラクター毎にシナリオが用意されていたりとファンには嬉しい仕様でした。これらをクリアするとそれぞれのキャラクターが特技を取得したりもします。

 

ストーリーは注射器とベッドのみが設置された真っ白な部屋で、主人公・ラッセルと看護師らしき人物がモニター越しで会話をするところからスタートします。

なにやらいきなり奇妙な雰囲気で面食らいましたが、どうやらラッセルは閉じ込められて実験体にされている様子。【HAPPY DREAM】という打てば楽しい夢を見ることができる怪しすぎるクスリの投与を促されたラッセルは注射器を打ち、夢の世界に旅立つことで物語は始まります。

 

目を覚まして部屋から出ると、そこは平和そうな普通の町でした。この町に住む楽しく優しい住人達と交流しながら、ラッセルは夢の中の不思議な世界を冒険する、といった感じの物語になります。

OMORIと近いような雰囲気ですが、こちらで冒険できるのは夢の中のみで、現実世界では実験施設の白い部屋から一歩も出ることが出来ません。これには理由があり……。

 

冒険が進むにつれて、だんだん住人達の正体、ラッセルとの関係性、そして【HAPPY DREAM】による実験の目的が明らかになっていきます。

導入から住人達との顔合わせ、そして真相に近づく展開まで非常にスムーズであり、一気にその不気味で魅力的な世界観に引き込まれてしまいました。

無口なラッセルに友好的に接してくれる住人達はみんな非常に可愛く魅力的で、すぐに大好きになりました。ちなみに本作のお気に入りキャラはいつも通り主人公の兄的存在であるタバサさんです。ラッセルのお隣の家に住む動物のお世話をしているお兄さんで、一番最初に一緒に冒険をすることになり、そして一番最初にその真実を知ることになるキャラクターです。

 

 

 

 

・罵られるのには理由がある(以下ネタバレ)

物語開始時、そして目が覚めて現実世界に戻るたび、看護師からイカレ野郎様と罵られます(笑)この看護師、口調は丁寧ですがラッセルに対して非常に冷たい言葉を投げかけてくるんですよね。最初は何!?と驚きましたが、真実を知るたびに、看護師のそんな態度にも納得してしまいました。

 

実は、ラッセル少年は罪悪感の欠如した人間であり、その正体は現実世界で様々な理不尽な理由で何人もの人々を殺してきたサイコパス殺人鬼でした。

家庭環境に問題があったとはいえ、全く罪のない、それどころかラッセルに親切に接してくれた人々を「この人はなぜ僕のお兄ちゃんじゃないんだろう」「天使のようなこの子は、階段から突き落としたら空を飛べるのかな?」等ぶっとんだ理由で殺してきたという真実を知ったとき、この作品の真の姿を見た気がしました。

被害者はラッセルと深い関係性だったというわけでは無く、たまたま動物園で出会った飼育員だったり、ラッセル含むクラスの全員を誕生日会に招待したただのクラスメイトだったり、こっそり手当をしてくれた看護師だったり…偶然ラッセルの目についてしまっただけの不運な人達です。

そんなラッセルに幸せな夢を見せて、その中でかつて自身が手にかけた人々と交流することによって罪悪感や後悔を覚えさせ、更生させることが【HAPPY DREAM】実験の目的となります。

 

…つまり、あんなに幸せそうな夢の世界で、あんなにラッセルに優しく接してくれた住人達は、かつて現実世界でラッセルによって殺害されてしまった人々ラッセルの夢の中での創造された姿なのでした。地獄か?

可愛らしい絵柄に騙される系の鬱ゲー作品は過去に沢山やってきたし本作についても覚悟はしていましたが、まさか主人公が加害者とは…なかなかの尖った設定に驚かされました。

 

・罪悪値とエンディング

夢の世界での冒険は、そこで生きる人々を知り、好きになればなるほど罪悪感が増していくというラッセルにとっては非常に恐ろしい実験です。これは罪悪値として数値化されており、最終的なこの数値(+選択肢)によってエンディングが分かれるマルチエンドとなっています。

私はそれなりに寄り道したこともあって罪悪値が強く実験成功のトゥルーエンドで終わりましたが、ラッセルは目覚めた罪悪感に苦しみ自殺してしまいました。逆に実験が失敗に終わればどうしようもない犯罪者としてそのまま処刑される結末らしいです。どちらも救いがない…。

 

選んだ住人の一人に真実を打ち明けラッセル自身を殺して貰うことで実験は完遂となるのですが、この最終イベントもなかなかにキツかったですね…。私はもちろんタバサさんを選びましたが、やるせないながらも共に過ごしてきたラッセルへの想いや夢世界での楽しい日々を確かな気持ちとして語る姿には、どうしようもなく悲しくなりました。

ラッセルには自業自得な結末だし彼のしたことは許せないことだけど、プレイヤーとしてはラッセルの目線で悲しい境遇や夢世界での葛藤を見ていくわけだから、愛着が湧いてしまうこともあると思います。救われてほしい、これからは幸せになってほしいと願う気持ちも生まれます。

だけど、気付いたらときにはすべてが手遅れで、愛した人々はもう誰もいない。どうすることも出来ず誰にも救いが無いんですよね。クリアしたあとズーンとした暗い気分になりましたが、そこがこのゲームの大きな魅力だとも思っています。

 

ちなみに、罪悪値が高くても住人に真実を打ち明けないことで夢の世界にとどまり続けることも可能で、これがもう一つのトゥルーエンドになります。

しかし、OMORIのように現実を捨てて夢の世界を一生探索するぜー!やったー!とはならないのがエンドロールという作品。夢の世界はラッセルの精神とリンクしており罪悪感を抱けば抱くほど崩壊を続けるので、このまま進んでも夢世界が完全に崩壊して終わります。また、現実世界でも実験失敗として薬の投薬は強制終了しラッセルは収監されたまま放置されてしまうので、どう転んでもバッドエンド!マルチバッドエンド!泣

 

・夢世界のあれこれ

ストーリーを進めて住人の殺害方法を知れば、にこやかに接していたその住人がラッセルに殺害された際の姿で「なぜあんなことを…?」と問いかけてきたりします。あんなに笑顔で可愛かった住人達の血まみれだったり、火傷で顔が無い姿にメンタルが削られまくりました。

先述の通り夢の世界はラッセルが犯した罪を自覚していくたびに姿を変えて行くので、明るくきれいだった町が崩壊してモンスターだらけになったり文字がおかしなことになったりと、話が進むごとにトラウマ級の不気味な世界に変わって行ったのが印象的でした。

 

不気味といえば、夢の世界で戦うことになるモンスターもとても気味が悪かったです。誰もかれも非常に意味深な姿と名前をしているのですが、それは殺害現場を目撃していた動物園の猿【目撃者】だったり、ラッセルに殺害された兄妹の母親【埋葬者】だったり…。モンスターたちは罪悪感となってラッセルに物理的にも精神的にも襲い掛かり、そして怨嗟の言葉を投げかけて来ます。この発想力は本当にすごいなぁと感じましたね。

 

猿が怖すぎる。

 

メインストーリーで一度仲間にしたキャラクター(+隠しキャラ)は探索パートでパーティーに加えることが可能です。メインで必要なキャラ+残りの枠は自由に編成することが出来るので、好きなメンバーで冒険出来て楽しかったです。

エンカウント率は若干高めですが、ダンジョンはシンプルなものが多く回復ポイントも設置されているので突破は簡単です。ただ、レベル上げ怠ると雑魚敵に苦戦することもあるのでちょうど良いくらいのゲームバランスだし、状態異常や属性相性もあり良く作られているなぁと感じました。性能、特技、装備や戦闘アニメにもキャラクターの個性が出ており面白かったです。

回復ポイントでは仲間たちと会話をすることが可能です。これは町での会話にも言えることだけど、進行具合によってその内容が変化する等作りこみは細かく、会話パターンを回収するためだけに回復ポイントに寄ったりもしていました。

 

他に寄り道要素で面白かったのは別荘を島ごと買うことが出来る点でしょうか。この別荘では仲間たちと会話したり釣りをしたり風呂に入ったり出来ます。盛りだくさん。

釣りで得た魚は調理してもらって食べることで全員の能力値を上げたり出来るし、メンバーによってはお風呂会話もあり、別荘の一部屋で本作のサウンドもすべて聴くことも出来ちゃいます。本作の楽曲は世界観に合った優しく怪しい雰囲気のものが多く、どれも素晴らしかったです。数種類あるボス戦の曲はどれも痺れるくらいかっこよく特にお気に入りで、しょっちゅう聴きに通ってました。

 

 

全体的にゲームバランスは良く、難易度もちょうど良いと感じました。町にはラッセルそっくりの【情報屋】がおり、彼が今後すべきことや発生しているサブクエのヒントを教えてくれるので、詰まることは無いと思います。

 

鬱だけど味のあるストーリーや好きになればなるほど悲しくなる魅力的なキャラクターの存在は勿論、グラフィックも音楽も上質でとても楽しめました。この作品をプレイしたいがためにノートPCを新調したようなものなので、元から期待はしていましたがそれを上回る充実感でした!

ただ、やはり内容が内容なだけに人を選ぶ作品であるというのも確かです。刺さる人には突き刺さる系の名作という感じ。

私はしっかりと突き刺さった側の人間なので、既に2周目を開始しています。1周目はスルーしてしまった未回収のイベントが結構あるみたいなので、公式様のヒントを見つつ頑張ろう。

56.ロマンシング サ・ガ2

今回はロマンシングサガ2です。

2024年8月18日にクリア、プレイ時間は30時間程でした。

もうじきリメイク版が発売になりますね。

 

・世代交代する主人公

物語はバレンヌ帝国の第二皇子【ジェラール】が、序盤で殺害されてしまった父・レオンの後を継ぎ皇帝となるところからスタートします。人類の敵とされる【七英雄】をすべて倒し、世界統一を成し遂げることがこの作品の大きな目標となります。

シナリオ自体は一見ありきたりに思えますが、この作品が他のゲームと大きく違い、そして本作最大の特徴といえる点が一つあります。それは、主人公が固定ではないことです。

固定ではないといっても、例えば主人公が5人おり各シナリオが用意されているようなものではなく、七英雄打倒と世界統一を目指す地続きの1つのストーリーを世代交代しながら進めていく、というものです。一見ジェラールが主人公のように思えますが、彼は始まりの主人公というだけで、一定期間が過ぎたら一気に100年程時間が経過してあっさりと次世代にバトンタッチとなるのです。

おまけに2代目以降の皇帝は、ジェラールのような固有キャラクターではなく汎用グラフィックのキャラクターになります。世代交代のタイミングで数あるクラス(職業や種族)からランダムに4人選ばれ、プレイヤーがそこから1人次代の皇帝を選ぶ形式です。唯一、ラスボスと戦うことになる【最終皇帝】だけは固有グラフィックかつプレイ開始時に性別と名前を決めることが出来るので、ちょっと特別感はありますが。

 

私はこの情報を一切知らなかった(というかBGMが素晴らしいこと以外は何も知らない状態だった)ので、最初は相当驚きましたね。主人公もパーティーメンバーも固有キャラでない上にポンポン世代交代していくから、一人ひとりのキャラクターに愛着が持てないんじゃ…?と思いながら進めていましたが、各世代で印象深いイベントをこなしながら自分だけの帝国史を作り上げてきたということもあり、それなりに愛着を持って遊ぶことが出来たので良かったです。

とはいえ、やはり他RPGのようにずっと同じキャラクターと冒険できるわけではないので、私がよくやってるお気に入りのキャラクターに重い愛を傾ける系の楽しみ方ではなく、数千年に渡る帝国の壮大な歴史を紡いで行く作品として非常に面白いゲームでした。

……と言いましたが、結局進めていくうちに敵サイドである七英雄にまんまとハマってしまいまして(笑)彼らの出自やそれぞれの性格、関係性などを知っていくうちに徐々に好きになっておりましたね…本作では彼らに関してはあまり多くは語られてはいないので、リメイク版に期待したいところです。

 

・斬新なシステムの数々

何代も世代交代して行く主人公の時点で斬新だなぁと感じる本作ですが、それ以外のシステムにも他に類を見ない斬新なものが多々ありました。

まずは一番重要な【伝承法】について。これは初代皇帝のレオンが物語冒頭で謎の魔女・オアイーブからから授かったもので、皇帝の力を次世代に継承できるという技です。メタ的にいうと前皇帝のパラメーターを次皇帝に引き継げるもので、これを繰り返すことで時代が進むにつれてどんどん皇帝の能力を上げていくことが出来ます。

継承を行うには当然現皇帝がいなくなる必要があり、この【皇帝継承】を行うには①パーティーが全滅するor②皇帝のLP(後述)が0になり完全に死亡するor③大きなイベントを達成したときに起こる100年前後の年代ジャンプが発生するの3パターンのみ。つまり、自由なタイミングで時代に継承することは出来ないのです。一度皇帝になったら死ぬまで自由の身にはなれない…これが皇帝の重みか…とか思っていましたが、今度発売のリメイクでは条件はあるものの、このあたりが解消される模様。

 

伝承法の他にも次世代に引き継げる要素は多数あります。色々ありすぎるので、特徴的なのをちょっとだけご紹介します。

開発した武器や防具等の装備品(開発した装備は次世代の店に並ぶようになる。めっちゃお金が掛かるうえ、各時代に各装備1ランクしか上げられないので効率的に行う必要あり。)

(レベル上げではなく、キャラが戦闘中に【ひらめき】を起こすことで技を習得します。使用武器や敵の強さ等によってランダムかつ急にひらめくので、いつどの技を会得できるか未知数。ちなみにパーティー全滅での継承だと技の引継ぎは出来ないので注意。)

陣形(様々な効果があり戦闘するうえで重要になってくるのですが、固有クラスの皇帝でないと会得出来ない等集めるのはそれなりに大変。)

仲間にしたクラス(元々帝国軍に所属していた初期クラス以外は、物語上で解放したり助けたりすることで帝国に協力するようになる。)

お金(皇帝なので店で売られる装備品は基本的にタダで手に入るが、皇帝なので装備や公共事業の開発にものすごいお金を取られます。)

 

自身やパーティーメンバーだけでなく、皇帝として国を強化したり新しい装備を開発していくのは面白く画期的だなぁと思いました。また、前時代のキャラクターはいなくなったとしても、生きた証として様々なものを残すことが出来るのは幾世代もの歴史を舞台にしている本作ならではの良さだなぁと感じます。

 

・こまめなセーブは基本

本作の総合難易度はかなり高いです。ただ単に敵が強いという難しさだけでなく、システムを理解せずぼーっと進めてるとあらゆる部分で詰みそうになります。

まず戦闘に関して。敵と1回エンカウントするごとに敵が少しずつ強化されます(驚愕)。エンカウントした時点で1戦闘なので、こちらが逃げても上がります。なので、逃げるを選択し続けると敵のレベルのみ上げり続けて詰みます。

シンボルエンカウントではありますが、シンボルが多く動きもトリッキーだったり早かったりするので、避けられずに戦闘突入…ということが非常によくありました。

更にLPシステムについて。生命力を表すLP(ライフポイント)は各キャラに定められており、戦闘不能になると1ずつマイナスされます。LP初期値は10前後でキャラによって様々ですが、魔術師系は若干少ないので特に扱いには気を付けましたね。元ネタは有名なあの偉人である"ソウジ"というキャラクターは、LP初期値は1だけど能力値はめちゃくちゃ高い、という元ネタに基づいた面白い設定でした。

LPが0になるとそのキャラクターは死んでしまい永久に使用できなくなるので、(一応、戦闘終了後にHPが全回復する救済措置はありますが)一回一回の戦闘にも気合いが入ります。

LPが尽きたキャラクターは何の演出もなくメニュー画面から消えてしまい、皇帝ですら割とサクッと次代皇帝の選択画面になります。SFCの容量上細かい演出が無いのは仕方ないとはいえ、彼らは長く果てしなく帝国史のほんの一部分に過ぎなかったのか…という何とも切ない気持ちになりました(T_T)

ちなみに仲間キャラも皇帝と同じく一度パーティーに入れたらLPが尽きるまでは外せない仕様なので、メンバーを変えたい時にはわざと戦闘不能にしてLPを削り、空き枠を作るという作業をする場合も。心が痛む……。

 

シナリオの自由度は非常に高く、序盤から多くの場所に行くことが出来てしまうのでかなり迷いやすいです。一応本拠地の城に情報をくれる人物もおりますが、どの地方から攻略するかはプレイヤーによって様々かと思います。

また、数世代後にならないと先に進まないイベントや皇帝のクラスや性別によっては発生しないイベントも多数あるので、このあたりも迷いやすいポイントなのかなと思います。

物語の要である七英雄を倒す順番も一部を除いて自由ですが、5人討伐した時点で最終皇帝に強制年代ジャンプしてしまうため、ここまでにある程度は育成や陣形会得、装備開発を済ませる必要があります(最終皇帝の時代はもう次世代が無いため、能力が弱いまま、取り漏らしがあるまま進めてしまうと詰む恐れがある)。

 

とんでもなく自由度が高い上に複雑で独特なシステムが多く、極めつけには取り返しのつかない要素や時限イベントが多数あるという本作。どこでもセーブが出来るので、4つのスロットをフルに利用してのプレイをおすすめします。

 

 

色々書いては来ましたが、実は私自身ややこしいシステムに関しては最終盤までふわっとした理解で、「このやり方で合ってるのか…?」と不安になりながらの緊張感溢れるプレイだったので、無事クリア出来て大満足です(笑)聞けばラスボス直前にも詰みポイントがあるようで…引っかからなくて本当に良かった。

キャラ愛が強かったり一本道系RPGを好んでいる私には相性悪いか…?と考えながらスタートしましたが、蓋を開けてみたら画期的なシステムの数々にかなりハマってしまいました。

まぁ今以上に飽きっぽく単純だった小さい頃の私がプレイしても確実に途中で投げ出していたと思うので、今このタイミングでプレイすることが出来て良かったのかな〜と思います。

55.天外魔境ZERO

今回は天外魔境ZEROについてです。

2024年7月24日にクリア、プレイ時間は20時間程でした。

 

天外魔境シリーズ唯一のスーパーファミコン作品です。実は本作、私が一番初めに触れた天外魔境だったりします。

かれこれ20年以上前のことですが、SFCで最序盤の方だけプレイしていたのをよく覚えており、懐かしい気持ちでプレイ開始しました。

 

・世界観について

まず簡単なあらすじ。600年前の火の一族との戦いで封印されていたニニギが蘇り、地獄の軍団と共にジパング全土を支配してしまいます。火の意志によって新たな火の勇者に選ばれた火影村の少年・ヒガンはニニギ討伐、そしてジパングを治めるために旅立つ、というお話です。

物語の舞台はおなじみジパングではありますが、今作は太古のジパングなので、今までのシリーズとは直接的な繋がりはほぼ無いです。なので事前知識も必要なく、また1や2のハードであるPCエンジンに比べてSFCはメジャーだったこともあり、当時の私のようにこのZEROで初めて天外魔境に触れた方も多いのではないでしょうか。

 

古代ジパングはそれぞれの神獣が守る火熊国・孔雀国・鶴国・亀国・犬神国・竜王国に分かれており、地獄の軍団によって支配させたそれら6つの国を順番に巡り、解放しながらニニギのいる竜王城を目指します。

主人公が火の一族として目覚めて冒険に旅立つところや巻物で術を覚えるシステム等は過去作と同じであり、生々しい表現や不気味さ溢れる敵キャラ達も天外魔境だなぁ…という感じで良かったです(笑)。しっかりと王道抑えつつ、スッキリと纏まりながらも爽快感も感動も味わえるストーリーの良さは流石という感じでした!

6つの国はどこも個性的でたくさんの町や村があって、世界を旅するわくわく感はずっと持ち続けることが出来ました。終盤で訪れることになる火の一族の故郷である天空の国・高天原も浮世離れした雰囲気があって、非常に好きでしたね~。目指す過程や演出も相まって、最終決戦前の感動ポイントでした。

 

・シリーズ異色作

天外魔境シリーズといえば大量のアニメーションムービーや豪華声優によるフルボイスといったド派手な演出が特徴的でしたが、このZEROに関してはそのあたりはほぼ皆無です。ROMカセットであるSFCの容量では今までと同じように作るのは難しいので、仕方がないとは思いつつもちょっと寂しい気もしましたね。

とはいえ、グラフィックはとても美麗であり迫力ある演出も多数用意されているので、今までのシリーズ"らしさ"を踏襲しつつもZERO独自の新たな雰囲気を確立しているという印象もあり、これはこれで良いなぁとも感じました。

 

ZEROならではの特別な機能といえば、【PLGS】(パーソナル・ライブ・ゲーム・システム)というものがあり、これは本作の目玉でもあると言えるでしょう。しかしながら、今回私はこのシステムを使えない環境でのプレイだったため、PLGS関係の要素を一切遊べませんでした…(泣)

ちなみにどんな機能かというと、カセット本体に内蔵された時計を現在の日時にセットしてプレイ開始することによって、ゲーム内の時間が現実世界とリンクするというもの。これにより、例えば自身の誕生日にプレイするとプレゼントが貰えたり、出会い茶屋で親しくなった女性と一緒に暮らせるようになったり(子供向けとは…)、季節の行事が行われたりするようです。

特定のイベントを見たければどんなに学校や仕事が忙しくてもそのタイミングでゲームを起動する必要があるし、ペットの餌や同居女性のためには頻繁に起動する必要もある、ということですね。現在でいうソシャゲにログインするような感覚でプレイしていた方も多いのでは?と感じました。

 

ただこの機能、とても面白いのですがとにかく内蔵電池の消耗が激しいのが欠点です。発売から20年以上経過している今日、実機でプレイするには電池交換が必須です。更に内部カレンダーは2014年までしか登録されておらず、2024年現在はぴったりの日時に合わせてのプレイは不可能となっています、無念。

幸いPLGS関係のイベントはゲーム本筋には関わっておらず、本編を進めるだけなら言ってしまえば無くても全く問題ない機能だったので助かりました。パーティーキャラである妖精のスバルが卵から孵るのには時間が掛かる、と説明されたときは正直焦りましたね。物語進行で普通に仲間になってくれてよかった…。

 

・魅力を語る

今作で5作品目のプレイとなる天外魔境シリーズ。今まで苦戦したポイントは多々ありますがどれも本当に素晴らしい作品だったので今回も期待してプレイ開始しましたが、やはり期待を裏切らない面白さだった…!!

難易度はちょうど良いくらいで、大きく苦戦するポイントは特にありませんでした。チート装備や金策ポイントもちらほらあったしね。ただ、エンカウント率だけは想像通り高めに設定されており、広いダンジョンとかだと結構苦労しました…。エンカウント地獄はもはやシリーズ伝統なのでしょう(笑)

 

キャラクターもやはり敵味方共にとても魅力的でした。

味方で印象的だったのはテンジンみずきですかね。二人ともパーティーメンバーですが呪いによって一つの身体に二人分の精神が宿っている状況であり、どちらか片方しか表に出られないため二人一緒に旅することはできません。私は定期的に入れ替えながらどちらも使用しておりましたが、どちらを表にするかによっての会話差分も結構ありました。

どちらも素敵なキャラクターなだけに勿体ない!と思いつつも、この二人は愛し合っていて一番近くにいるのに絶対に会うことが出来ないという悲恋が美しいのだ…とも感じたり…。あとテンジンの独特ななぞなぞ風の話し方が面白くて好きでしたね。独特すぎて、観測できた中では作中で正解できてたの合わせ鏡イベント時のみずきだけだったけど…ここは流石と言うべきか。

 

また、音楽もすごくよかったです。天外魔境シリーズは作品ごとに担当作曲家の方が違うことが多いのに、どれもシリーズらしさを感じられる神曲揃いってすごくないですか???

メインテーマやフィールド曲が素晴らしいのはもちろん、エンカウント率の都合もあって多く聴く機会があった雑魚戦曲も勇ましい雰囲気が存分に出ており耳馴染みが良く、最後まで全く飽きることがありませんでした。ボス戦曲も複数ありましたが、こちらもどの曲も不気味さが印象的でよかったです。

あと、闇の剣士・シラヌイというキャラクターが登場するのですが、そのテーマ曲も良かったですね。シラヌイは旅の途中途中でヒガンに意味ありげな語り掛けをしてくるのですが、終盤にはヒガン一行の前に立ちはだかり戦闘をすることになります。そこで流れるアレンジもまた格好よくて…!

後に改心した彼はヒガン達に未来を託し、敵の攻撃から彼らを庇って退場するという悲しいながらも非常にかっこいいキャラでした。最初はなんだこいつ…?という印象でしたが、専用BGM持ちで数回戦うことになるし、主人公に奥義を伝授する等のおいしいポジションということもあり、最終的にBGMもシラヌイ本人も特にお気に入りになっていました。

 

 

基本はシリアスだけど要所要所に遊び心が満載で、全体を通してとても楽しめました。エンカウント率以外はゲームバランスも良くシナリオも分かりやすいので、RPGとしてはもちろん、天外魔境シリーズの入り口としてもオススメの作品です。

54.マール王国の人形姫

今回はマール王国の人形姫についてです。

2024年6月23日にクリア、プレイ時間は11時間程でした。

8月末頃に25周年アニバーサリーコレクションが発売されるので、それに向けて既に購入していた1を今回初プレイしました。以前Switchのセール中に偶然見かけ、可愛らしい世界観とミュージカル風演出が気になって買ったんだったなぁ…。

 

・ファンシー系と思いきや…?

本作は、オレンジ村という小さな村に住む主人公・コルネットが一目惚れをした王子様を悪い魔女から救い出すというよくある少女漫画風のお話です。

コルネットは人形と話すことが出来る不思議な能力を持っています。この力を使って各地にいる人形たちと友達になり、パーティーに加えて一緒に戦っていきます。

仲間になる人形は強制加入を含め15体くらいはいるみたいで、ビジュアルも性能も個性豊かでした。また、ドラクエ5のように、倒したモンスターが起き上がり仲間になってくれることもあります。

 

絵本のようなファンタジーな世界観や柔らかい絵柄が魅力の本作ですが、悲しい出来事や鬱イベントも多数あったのでかなりビックリしました…!本筋の内容は基本的に優しい雰囲気なので、残酷な部分がスパイスとなっており良い意味で裏切られた気分でしたね。

王子救出の過程でやむを得ず犠牲にしてしまった街や人々(中には結果的に命を落とす人物も…)の存在を考え、物語最終盤で「自分だけ幸せになっても良いのか」と思い悩むコルネットには胸が痛みました。

なにかと心に引っかかっていたイベントも多かったので、そういった薄暗い部分からも目を逸らさずに、しっかり向き合ってくれていてよかったです。また、その悩みに対する王子の「罪を一緒に背負っていこう」というアンサーも感動的でした。

 

逆にコミカルなシーンもかなり多く、細かい書類を見て生命保険の契約書か!とツッコんだりハリセンで殴ったりと、こちらもファンタジーな世界観に反して俗っぽいというか、切れ味の鋭いギャグセンスで良かったです(笑)

 

・攻略難易度

戦闘システムはポポロクロイスシリーズのようなマス移動型のコマンド式。かなり簡単な部類なのでラスボス含め戦闘で苦戦することはありませんでした。

ただ、エンカウント率はかなり高めです。ひどい時だと1歩歩くたびに戦闘ということも…。鬼エンカは天外魔境で慣れたもんだと思っていましたが、本作はマス移動型戦闘なので一戦一戦がそれなりに時間が掛かるということもあり、ストレスに感じる部分もありました。

 

ダンジョン数は多くはないので、同じ場所に異なる目的で複数回来たりもします。ダンジョン内の構造はシンプルですが、シンプルすぎるがゆえに各フロアの特徴が少なく迷いやすいという欠点も。特に終盤のダンジョンでは結構迷子になりました。ここで鬼エンカが効いてくるんですよね…笑

次に進むべき場所や攻略のヒントはNPCの話から得られることが殆どなので、NPCとの会話が攻略の上で非常に重要になってきます。荒いプレイスタイルの私はヒントの少なさに積みかけたりもしましたが、話が進むとNPCの話すことが変わっていたりする細かい変化が楽しかったです。

 

・心に響く楽曲とミュージカル

本作はテキストや戦闘時にボイスはありませんが、主要キャラクターにはすべて声優が付いています。ではどこで声を聴くの?という話ですが、この作品は重要イベント時にミュージカルのようにキャラクター達が歌って踊る演出が入ることがあり、そこで声を聴くことが出来ます。

楽曲はその時のキャラクターの心情や決意を歌ったものが多く、歌詞もメロディも心地よい暖かさがあってどれも本当に素晴らしいんですよね…!コルネットの母・シェリーの子守歌やコルネットと幼馴染兼ライバルであるエトワールのデュエット等、見どころたくさんです。

ドットのキャラクター達がくるくると踊ったり笑ったりするところも非常にかわいらしかったです。中でも敵であるマージョリー一家のアホっぽいミュージカルシーンなんかは悪役なのに憎めない系のキャラクター性を強く表しており、とても表情豊かでお気に入りの楽曲です!

 

 

夢見る少女と王子様の出会いから始まり、辛い旅や悲しい過去を乗り越えて迎えるハッピーエンドという、終始本当に美しい絵本のような物語でした。

特に終盤で明らかになる、コルネットと幼い頃からずっと一緒だった相棒の人形・クルルの正体やその目的には涙が止まりませんでしたね…。

アニバーサリーコレクションで続編をプレイ出来るのが今からとても楽しみです。

53.UNDERTALE

今回はUNDERTALEです。

計3周して2024年6月9日にクリア、プレイ時間は1周目(Nルート)が約5時間、2周目(Pルート)が約8時間、3周目(Gルート)が約10時間でした。

超有名なインディーズゲームですが、運よくストーリーや核心に迫るネタバレは踏んでいない状態でプレイ出来ました。雰囲気や音楽も良さげでずっと気になっていた作品を今回ようやくプレイ出来たのですが、プレイして!本当~に!良かったです!!

 

・あらすじ

遠い昔、人間との戦争に敗北したモンスターは人間たちによって地下深くに封印されました。月日は流れ、とある人間の子供が誤って地底に転落してしまうところから物語はスタートします。

この子供こそが主人公であり、地底の世界唯一の人間としてモンスターたちと時に争い、時に交流を深めながら地上への帰還を目指します。

 

戦闘はコマンド+弾幕ゲーで、こちらの攻撃はコマンド式、相手側モンスターの発する攻撃弾幕を回避しながら戦います。弾幕の種類や形状は戦うモンスターによってほぼ全部違っており、中にはなんじゃそりゃ!?と驚くようなものもあって面白かったです。こういう遊び心満載なところも本作の魅力ですね。

地上を目指すという本筋はシンプルかつ戦闘も慣れればそこまで難易度が高いわけでもありません(とあるルートの一部ボス除く)。コンティニューも簡単にできることもあり1周が短くサクッとプレイ出来るので、謎解き要素やパズルはあるにしても、ゲームとしては良い意味で頭を使わずに軽い気持ちで遊ぶことが出来ます。

…が。ゲーム製のシンプルさに反して設定やシナリオの分岐面、キャラクター背景はかなり(ダークな方面に)凝って作られており、私はこちら方面に頭を抱えながらプレイしました。詳しくは後述。

 

懐かしくも斬新な雰囲気

ドットで描かれるキャラクターやマップ、そして素晴らしすぎる音楽からレトロゲームのような懐かしさを感じさせつつも、インディーズゲームならではのダークな雰囲気もバッチリ取り入れており、なるほどこれは中毒性が高いな…という印象です。

作者のトビー・フォックス氏は日本のゲームが好きで、影響を受けているんだなというのもとても納得。というかこの作者さん脚本から音楽、プログラミング等まですべてこなしてるらしく?しかも当時まだ20代で??…とんでもないお方です。

 

地下世界で出会うモンスターたちは恐ろしいビジュアルと違ってみんな優しく可愛らしいです。最初は人間というだけで敵対してくるキャラクターもいましたが、交流していくうちにだんだんと分かり合えます。とにかくみんないい子!!

やむなく戦闘になる場合もありますが、主人公の戦闘コマンドの【みのがす】を使用することで争いを回避することも可能です。通常の【たたかう】では相手にダメージを与えられるのですが、【こうどう】というコマンドを選択して(戦闘中に)相手と交流を試みることでモンスターが戦意喪失し、【みのがす】コマンドからモンスターを見逃すことが出来ちゃいます。

この【みのがす】は雑魚モンスターは勿論ボスモンスターにも有効で、根気強く語り掛けることで立ちはだかるボスとも争わず、友好的に解決することが出来ます。この根気強く、というのが重要で、1回ではダメでも何度も試すことでようやく反応が変わることもあるのです。

 

・とんでもないルート分岐

ルート分岐は3パターンあり、私は初回はNルートになりました。NはNeutralの頭文字でその名の通り中立を意味します。他2ルートの条件を満たさない場合すべてがこのルートとなるので、一番簡単に到達可能なエンディングです。

更にNルート内でも細かい分岐が沢山あり、道中ボスのうち誰を倒したか、雑魚敵を何体倒したか等でエンディングの内容が若干変わるようです。

 

「誰も死ななくていい優しいRPG」を謳っている本作は先述の【みのがす】コマンドによって誰も殺さずにクリアすることも可能です。戦闘でモンスターたちと対話をし続け、全ての相手を見逃し、特定キャラクターの友情イベントをこなすことで、Pルート(Pacifist、いわゆる平和主義者ルート)に到達できます。

このPルートは終始本当に幸せなルートで、紆余曲折の末すべてのモンスターたちと主人公が友達になり、全員で地底から脱出し地上で平和に暮らすという3ルートの中で一番の(というか唯一の)純粋なハッピーエンドでした。正直ここで終わりたかった。

ちなみにPルートを見るには1度Nルートをクリアする必要があります。Nルートでは登場しなかったマップやキャラクターが出現したり、隠された真実が明かされたりと物語をしっかりと理解するために非常に重要なルートでした。また、Nルートではシリアスなイメージのまま終了したトリエルやアンダイン等のキャラクターのそれぞれ意外な面白い、可愛らしい一面を見ることも出来て非常に満足でしたね。

 

全員を生存させるルートがあるなら当然逆もあるはず、ということで3つ目のルートはGルートです。殺戮を意味するGENOCIDEのGであり、マップの雑魚敵をエンカウントしなくなるまで狩り尽くし、ボスもすべて倒すことで到達可能です。難易度的にも内容的にも精神的にもダントツできつかったルートでした。

このルートに進むとキャラクターたちの主人公への反応が他ルートとは変わり、かなり辛辣になっていました。そりゃ仲間を片っ端から殺しながら進む奴には当然の反応だよ…。そんな中、主人公が更生出来ると最後まで信じてくれたパピルスにとどめを刺すのが一番辛かったですね…あんな良い子を手にかけるなんて(T_T)

マップではBGMが消え、町では恐怖の対象である主人公から逃げるためにモンスターの姿がほぼ無くなります。中には無人になったショップもあり、そこからアイテムやお金を盗むことも可能。主人公、悪逆の限りを尽くします。

 

そしてこのルートの特徴として高すぎる難易度が挙げられます。とはいってもGルートではボスの殆どは一撃で倒せる仕様になっていて雑魚のレベルも他ルートと変わらないため、特定のポイント2か所以外の道中はほぼ苦戦しないと思います。

その特定の2か所こそが一撃で倒せない高難易度ボス、Gルート中盤の難所【不死身のアンダイン】と実質ラスボスの【サンズ】が登場するポイントであり、Gルートの難易度を跳ね上げている存在です(特にサンズ)。アンダインは他ルートでも戦っていますがGルートではパワーアップした姿での戦闘となります。攻略法も普通のアンダインと殆ど同じですが威力やスピードが跳ね上がっており、1時間くらい何度も挑戦してやっと倒せました。たまたま入手制限のある高数値の回復アイテムをすべて温存して勝てたので、サンズ戦は割と万全の体制で挑むことが出来ました。

 

Gルート最終盤で立ちはだかるサンズは他ルートでもずっと登場していたキャラクターでしたが戦闘はしておらず、まさかGルートのみ、しかも実質ラスボスとして出てくるとは…曲のカッコよさも相まって鳥肌がすごかったです。

ただ難易度はえげつないほど高かったです(笑)。こちらの攻撃は最後の一撃以外は避けられる仕様なのでサンズのHPを減らすことは出来ず、こうげき→サンズの攻撃を避ける一連の動作を23回繰り返すことでようやくクリアとなります。攻撃が当たらないから装備品での攻撃力強化は無意味であり、更に出現するモンスター上限が決まっていることからレベル上限は19で固定なので、HPや防御力を上げまくっての対応も不可能です。つまりは決まった条件の中、自身の腕前だけでクリアしなくてはなりません。

攻撃パターンは決まっているので、とにかく何回も挑んで避け方を体に覚えさせるのが攻略法です。途中からランダムになったりコマンド選択場面でもダメージを食らうようになったりと初見殺しだらけなので、何度挑んだのか数えてないです(笑)トータルで4~5時間は挑み続けましたが、倒せたときの達成感はハンパなかったですね…!!

 

Gルートのエンディングはすべてのモンスターを殺しつくした主人公が【もう一人の人間】と共にアンダーテールの世界を破壊して終わります。画面が真っ暗になりソフトを再起動しても真っ暗なまま動かなくなりますが、10分くらい待つと主人公の魂と引き換えに【もう一人の人間】が世界を復活させてくれて、また一からゲームをスタート出来るようになります。

ただ、一度Gルートを経たデータ(再構築された世界)は以後Pルートをクリアしてもエンディングが少し変化するようで……?アンテはこのようなデータのセーブ&ロード機能を超えた演出や会話差分が本当に沢山あり、毎度驚かされましたね。

 

さて、先ほどさらっと出した【もう一人の人間】の存在ですが、実はこいつはPやGルートで初めて明らかになるキャラクターであり、主人公よりも前、というか一番最初に地底に落ちた人間だったりします。そしてプレイヤーが物語開始時に名前を付けたのは実はこいつの方でした。今まで操作していたキャラは【フリスク】という名前だそうで…。なかなか面白いミスリードでした。

このあたりはまだよく嚙み砕けていないので割愛しますが、かなり複雑な設定がありそうです。すべてのルートを制覇しましたがまだまだ理解出来ていない内容や謎が沢山残っているので、4周目に突入します。そして速攻で購入したサントラを聴きながら、いろんな方の考察を見て更にアンダーテールの世界に浸って行こうと思っています。

52.Haven

今回はHavenというインディーズゲームです。

2024年6月1日にクリア、プレイ時間は22時間程でした。

ジャンルはRPGアドベンチャーになります。

海外の作品ですが、日本語対応版がSwitchで配信されていたので私はそちらをプレイしました。ボイスは英語ですが、シナリオが日本語になっている感じですね。

 

・世界観

小さな宇宙船【ネスト】に乗って、見捨てられた惑星に逃げ込んだ【ケイ】と【ユウ】の二人の逃避行を描く本作。

ケイとユウは二人以外に人類は存在しない惑星でのんびりと暮らしていましたが、ある日大きな地震に見舞われ生活拠点であるネストを破壊されてしまいます。修理のための素材集めで惑星を探索したり追手を撃退したりしながら料理や会話をして生活していくゲームになります。

 

・リアルに感じられる会話

この作品の大きな魅力として、主人公二人の掛け合いがあげられます。実はケイとユウは恋人同士であり、駆け落ちのような形でこの惑星に辿り着きました。そんな理由もあり二人の絆はとにかく厚く、作中イチャイチャしっぱなしです(笑)

探索パートでもネスト内でもとても仲が良く、ずっと二人で会話しながら物語が進むのですが、本当に会話のバリエーションが豊富なんですよねこの作品。しかもフルボイスで。他愛のない雑談からフフッと笑える冗談、二人の過去に触れるようなシリアスなことまで内容は様々です。

例えば一緒に料理をしたりくつろいだりシャワーを浴びたりした際も、一定のシナリオが流れるのではなく毎回セリフが変わるので、本当に二人の人間の生活に密着しているような気分になれます。

 

会話内の選択肢も多くて選択内容によっては絆がアップしたりもします。選択肢の問答もユーモアが効いてて面白いんですよ、これがまた…!

すべての会話パターンを見たいのに、このゲームにはセーブ機能が無くオートセーブのみとなっているので、全部の掛け合いを見たい場合は周回がほぼ必須だったりします。

 

また、二人のビジュアルはサムネの通りの男女なのですが、なんとアップデートにより男性同士、女性同士のカップルにも変更可能になりました!

もちろんボイスや文章もちゃんと変更されています。このあたりにも手厚さを感じますね~。

 

・操作性について

ゲーム性はシナリオ、システム共にかなりシンプルで全体的に分かりやすいですし、よく出来てるな~と感心しながら遊びました。

ただ、探索ではマップ内を快適に飛び回ることが出来る反重力ブーツがあるのですが、これの操作が慣れるまで難しくて…。歩きが超ゆっくりでマップ上の移動にはこのブーツの存在が必須になるため、コツを掴むまではかなり苦戦したポイントでした。

更にブーツはエネルギーが切れると素材の回収機能が使えなくなったりするため、マップ各地にある【スレッド】と呼ばれる青い光を辿って補充するのですが、これもなかなか難しく…画面に酔いながらドリフトの練習をしました。

 

惑星探索ではシンボルエンカウントでの戦闘もありますが、魔物を討伐するのではなく、狂暴化した現地の生物たちを無力化して沈静化させる感じですね。

左の十字キーでケイを、右のABXYボタンでユウを同時に操作します。攻撃したり防御したりを左右同時に選択するので混乱しがちですが、なかなか爽快感があって面白かったです。

戦闘に向けて食事やベッドで一緒に寝て(当然ラブラブっぷりを見せつけられる)体力を回復したりも可能。

ちなみにこのゲームは一般的なゲームのように戦闘でレベルは上がらず、二人の絆を上げることで強化されていきます。絆ゲージを一定数に上げてからネストで乾杯することで、二人のステータスがアップします。こういう部分からも本作の世界観を感じられて実に良いですね~。

 

良いところは沢山あるのですが、逆に若干気になったのがロードが多いことですかね。オートセーブのみ対応ということもあり、ロード画面がかなり頻繁に表示されます。マップの切り替え時にもいちいちロードが発生するので、少しテンポ悪く感じる部分もありました。

ただ、このロード画面には毎回ケイとユウの様々な可愛らしい日常イラストが表示されるので、このイラストを見るのも楽しみの一つではありましたね。

 

物語の最後には大きな決断をする必要があり、その選択肢次第でグッドエンドかバッドエンドに分岐します。

私は初回はバッドエンドでした…本気で寂しく恐ろしい終わり方で泣いた(T-T)選択肢直前でロードが出来たので、すぐにやり直してグッドエンドを目指しました。

 

説明が少なく分かりづらい部分があったりマップの景色が単調で迷いやすいという気になるポイントもありましたが、短いながらもボリュームを感じられ、シナリオもしっかりしており全体的にとても良く出来ている作品でした。