今回は天外魔境ZEROについてです。
2024年7月24日にクリア、プレイ時間は20時間程でした。
天外魔境シリーズ唯一のスーパーファミコン作品です。実は本作、私が一番初めに触れた天外魔境だったりします。
かれこれ20年以上前のことですが、SFCで最序盤の方だけプレイしていたのをよく覚えており、懐かしい気持ちでプレイ開始しました。
・世界観について
まず簡単なあらすじ。600年前の火の一族との戦いで封印されていたニニギが蘇り、地獄の軍団と共にジパング全土を支配してしまいます。火の意志によって新たな火の勇者に選ばれた火影村の少年・ヒガンはニニギ討伐、そしてジパングを治めるために旅立つ、というお話です。
物語の舞台はおなじみジパングではありますが、今作は太古のジパングなので、今までのシリーズとは直接的な繋がりはほぼ無いです。なので事前知識も必要なく、また1や2のハードであるPCエンジンに比べてSFCはメジャーだったこともあり、当時の私のようにこのZEROで初めて天外魔境に触れた方も多いのではないでしょうか。
古代ジパングはそれぞれの神獣が守る火熊国・孔雀国・鶴国・亀国・犬神国・竜王国に分かれており、地獄の軍団によって支配させたそれら6つの国を順番に巡り、解放しながらニニギのいる竜王城を目指します。
主人公が火の一族として目覚めて冒険に旅立つところや巻物で術を覚えるシステム等は過去作と同じであり、生々しい表現や不気味さ溢れる敵キャラ達も天外魔境だなぁ…という感じで良かったです(笑)。しっかりと王道抑えつつ、スッキリと纏まりながらも爽快感も感動も味わえるストーリーの良さは流石という感じでした!
6つの国はどこも個性的でたくさんの町や村があって、世界を旅するわくわく感はずっと持ち続けることが出来ました。終盤で訪れることになる火の一族の故郷である天空の国・高天原も浮世離れした雰囲気があって、非常に好きでしたね~。目指す過程や演出も相まって、最終決戦前の感動ポイントでした。
・シリーズ異色作
天外魔境シリーズといえば大量のアニメーションムービーや豪華声優によるフルボイスといったド派手な演出が特徴的でしたが、このZEROに関してはそのあたりはほぼ皆無です。ROMカセットであるSFCの容量では今までと同じように作るのは難しいので、仕方がないとは思いつつもちょっと寂しい気もしましたね。
とはいえ、グラフィックはとても美麗であり迫力ある演出も多数用意されているので、今までのシリーズ"らしさ"を踏襲しつつもZERO独自の新たな雰囲気を確立しているという印象もあり、これはこれで良いなぁとも感じました。
ZEROならではの特別な機能といえば、【PLGS】(パーソナル・ライブ・ゲーム・システム)というものがあり、これは本作の目玉でもあると言えるでしょう。しかしながら、今回私はこのシステムを使えない環境でのプレイだったため、PLGS関係の要素を一切遊べませんでした…(泣)
ちなみにどんな機能かというと、カセット本体に内蔵された時計を現在の日時にセットしてプレイ開始することによって、ゲーム内の時間が現実世界とリンクするというもの。これにより、例えば自身の誕生日にプレイするとプレゼントが貰えたり、出会い茶屋で親しくなった女性と一緒に暮らせるようになったり(子供向けとは…)、季節の行事が行われたりするようです。
特定のイベントを見たければどんなに学校や仕事が忙しくてもそのタイミングでゲームを起動する必要があるし、ペットの餌や同居女性のためには頻繁に起動する必要もある、ということですね。現在でいうソシャゲにログインするような感覚でプレイしていた方も多いのでは?と感じました。
ただこの機能、とても面白いのですがとにかく内蔵電池の消耗が激しいのが欠点です。発売から20年以上経過している今日、実機でプレイするには電池交換が必須です。更に内部カレンダーは2014年までしか登録されておらず、2024年現在はぴったりの日時に合わせてのプレイは不可能となっています、無念。
幸いPLGS関係のイベントはゲーム本筋には関わっておらず、本編を進めるだけなら言ってしまえば無くても全く問題ない機能だったので助かりました。パーティーキャラである妖精のスバルが卵から孵るのには時間が掛かる、と説明されたときは正直焦りましたね。物語進行で普通に仲間になってくれてよかった…。
・魅力を語る
今作で5作品目のプレイとなる天外魔境シリーズ。今まで苦戦したポイントは多々ありますがどれも本当に素晴らしい作品だったので今回も期待してプレイ開始しましたが、やはり期待を裏切らない面白さだった…!!
難易度はちょうど良いくらいで、大きく苦戦するポイントは特にありませんでした。チート装備や金策ポイントもちらほらあったしね。ただ、エンカウント率だけは想像通り高めに設定されており、広いダンジョンとかだと結構苦労しました…。エンカウント地獄はもはやシリーズ伝統なのでしょう(笑)
キャラクターもやはり敵味方共にとても魅力的でした。
味方で印象的だったのはテンジンとみずきですかね。二人ともパーティーメンバーですが呪いによって一つの身体に二人分の精神が宿っている状況であり、どちらか片方しか表に出られないため二人一緒に旅することはできません。私は定期的に入れ替えながらどちらも使用しておりましたが、どちらを表にするかによっての会話差分も結構ありました。
どちらも素敵なキャラクターなだけに勿体ない!と思いつつも、この二人は愛し合っていて一番近くにいるのに絶対に会うことが出来ないという悲恋が美しいのだ…とも感じたり…。あとテンジンの独特ななぞなぞ風の話し方が面白くて好きでしたね。独特すぎて、観測できた中では作中で正解できてたの合わせ鏡イベント時のみずきだけだったけど…ここは流石と言うべきか。
また、音楽もすごくよかったです。天外魔境シリーズは作品ごとに担当作曲家の方が違うことが多いのに、どれもシリーズらしさを感じられる神曲揃いってすごくないですか???
メインテーマやフィールド曲が素晴らしいのはもちろん、エンカウント率の都合もあって多く聴く機会があった雑魚戦曲も勇ましい雰囲気が存分に出ており耳馴染みが良く、最後まで全く飽きることがありませんでした。ボス戦曲も複数ありましたが、こちらもどの曲も不気味さが印象的でよかったです。
あと、闇の剣士・シラヌイというキャラクターが登場するのですが、そのテーマ曲も良かったですね。シラヌイは旅の途中途中でヒガンに意味ありげな語り掛けをしてくるのですが、終盤にはヒガン一行の前に立ちはだかり戦闘をすることになります。そこで流れるアレンジもまた格好よくて…!
後に改心した彼はヒガン達に未来を託し、敵の攻撃から彼らを庇って退場するという悲しいながらも非常にかっこいいキャラでした。最初はなんだこいつ…?という印象でしたが、専用BGM持ちで数回戦うことになるし、主人公に奥義を伝授する等のおいしいポジションということもあり、最終的にBGMもシラヌイ本人も特にお気に入りになっていました。
基本はシリアスだけど要所要所に遊び心が満載で、全体を通してとても楽しめました。エンカウント率以外はゲームバランスも良くシナリオも分かりやすいので、RPGとしてはもちろん、天外魔境シリーズの入り口としてもオススメの作品です。