のんびりゲーム記

クリアしたゲームの感想や備忘録。ネタバレ満載です。

17.天外魔境2 卍MARU

今回は天外魔境2について書いて行こうと思います。2021年12月18日にクリア、プレイ時間は58時間でした。

※リンクはPS2のものです。

 

天外魔境2はハドソンからPCエンジン用ソフトとして1992年に発売されたゲームです。天外魔境シリーズはZEROの序盤のみ小さい頃にSFCで遊んだことがあり、本作はVitaでアーカイブを購入してプレイしました。購入自体は5~6年ほど前にしており中盤までは遊んでいたのですが、とある場面で積んでそのままになっていました…詳細は後程。

 

・圧倒的なクオリティ

プレイ前から名作だと噂は聞いておりましたが、実際にクリアしてみてその理由がよく分かりました。ストーリーは分かりやすい勧善懲悪だしそこまで目立った特徴は無いと思うのですが、本当に完成度の高い作品でした…!力強い迫力とドロドロとした不気味さが合わさったゲームの雰囲気は唯一無二だと思っています。

 

驚いたことは色々あるのですが、一番はアニメーションムービーの質と量でしょうか。本当に30年前のゲームか?と思うほどに何もかもが規格外。OPはキャラクター紹介も兼ねた壮大なムービーで一気に世界観に引き込まれ、ストーリー中では「30分に1度大きなイベントが発生する」と謳われているように何度もムービーが挟まります。しかも豪華声優によりボイス付!

アニメーションというだけでも凄いのに、フルボイスとは…何年時代先取りしてんだといいう話です( ゚д゚)テレビゲームの可能性に当時の子供たちはさぞ驚いたことでしょう。後述のとあるムービーでは台詞、演出、クオリティ全てにとても感動して思わず涙が出ました…

 

また、物語を彩る楽曲もどれも素晴らしいものでした。音楽担当はジブリ等でお馴染みの久石譲氏です。力強いOP曲やダンジョンで流れる不気味な曲、緊迫感のある戦闘曲…どれも印象に残る心地よいメロディでしたね。

中でもフィールド曲は勇ましさと爽やかさを兼ね備えた壮大な楽曲となっており、フィールドで放置してしばらく音楽を楽しむ時間もあるほどでした。

 

・印象に残るストーリー

このゲームのストーリーは主人公・卍丸たち『火の一族』と敵である『根の一族』の対立を描く物語です。千年前の火の勇者たちが残した聖剣を1本ずつ取り戻してジパング各地に咲いた『暗黒ラン』を斬り、世界征服を企む根の一族を打ち倒すストーリーはまさに王道RPGといえますが、その道中は驚きのイベントがてんこもり。トラウマになるような出来事やこれ子供に見せて大丈夫!?といったイベントの数々に圧倒されました。

例えば、ネットで有名な浜田村の話。敵に豚に姿を変えらた村人たちが隣の浜田村に助けを求めに来ましたが、元人間と知らない浜田村の人々は突然の食料に喜びそのまま食べてしまいます。卍丸たちが敵を討伐後、その事実を知った浜田村の住人達に話しかけると海に向かってひたすら嘔吐し続けておりました。その地を支配していた敵は倒したはずなのに村の雰囲気はどんよりとしており、BGMも暗いままです。本当に後味悪い話を書かせたらハドソンは天下一だな…(誉め言葉)。

 

他にも弁天様という妖艶な女性キャラが卍丸に対して「あと5年早く生まれていれば帰しはしなかったのに」と言ってきたり、意味深なことを話すNPCが多数いたり雑魚敵の名前がなんだか艶めかしかったり…制作陣が「もっと下世話に、もっと猥雑に」を本作のキーワードとして語っている通り、随所にエロティックな要素が散りばめられておりました。

根の一族である菊五郎バイセクシャルであり人質の男性にも手を出していた、ということもNPCの会話から分かることなのですが、これ子供の頃に見てもなんのこっちゃとスルーしていたんだろうなぁ(笑)子供がやるのと大人になってからやるのとでは違う印象を受けるキャラクターやイベントも多そうです。

 

・キャラクター ~火の一族~

メインパーティーは途中抜けたり再加入したりはありますが4人固定です。全員火の一族であり、とても個性的で良いキャラ達でした。これはレトロRPGあるあるなのですが、皆キャラが立っているだけにパーティー内の会話が少ない部分は少し残念でした。卍丸との会話はあっても、テイルズのスキットのように全員で会話をする場面はほぼ皆無です。

そんな中、先ほど少し触れたとあるムービーとその前後のイベントでは全員が会話をするんです!とても貴重なイベントであると同時に天外魔境2屈指の名シーンだと思っています。

 

それはパーティーの紅一点である絹が覚醒し、鬼の力を解放するシーンです。彼女はその強大な力の暴走を恐れて自身の手を純潔の鎖で繋ぎ、力を封印しておりました。そのため、ここまで彼女は戦闘で通常攻撃のコマンドが選択出来ず、技や道具使用で補助に徹していました。

旅の途中で絹の死んだはずの母親が登場し、絹はそれを追います。が、実はそれは偽物であり、正体は絹の両親を殺した張本人・根の一族の吹雪御前でした。自分を騙したこと、そして自分を追って助けに来た卍丸たち仲間を傷つけたことに怒った絹は自分の本当の名前「鬼怒(きぬ)」を名乗り、吹雪御前を殺害します。

ちなみにこの覚醒シーンのムービー、残虐すぎるという理由で先程の浜田村の悲劇や弁天様のビジュアルと共にリメイク版では規制がされました…笑

鬼の力を解放し大暴れしてしまった鬼怒。すべてに絶望し、もう生きていたくないと言い崩壊する城から卍丸達を脱出させたあとひとりその場に残ります。そんな彼女を見捨てられない他の3人がそれぞれの思いを口にして救出に向かうのですが、そこで流れるムービーでは基本話さない主人公・卍丸が長い台詞を喋ります。

「絹の背負ってる悲しみも苦しみも、全部まとめて今日から俺が背負ってやらぁ…運命なんてクソくらえだ!」

特に印象深い一文です。もうね、この一連のイベントがめちゃくちゃ良いんですよ…!本当に色々なことを乗り越えた物語終盤での出来事ということもあり、今までの冒険を思い出しながら号泣してしまいました…

そして、励まれ立ち直った絹は無事パーティーに復帰します。新たな鬼の力を得て攻撃コマンドも解禁、戦闘でも大活躍してくれます。火の勇者たちの団結力が更に深まった素晴らしいイベントでした( ;∀;)

 

サブキャラクター達も主人公一行に負けないくらい個性的でどのキャラも強く印象に残っています。冒険をサポートをしてくれる伊賀忍者の百々地三太夫や絹の飼い犬シロ、陽気な宣教師ホテイ丸ら味方キャラクター達は戦いの中で卍丸たちに先に進む道を示して犠牲になってしまうのですが、エンディングでは皆蘇ります。というか根の一族によって殺されてしまった絹の両親や千年前の火の勇者たちまで蘇ります(笑)

まさかのドラゴンボール展開にえっ全員!?良いの!?となりましたが、キャラ達が犠牲になって行くシーンはどれも本当に辛くて凹んでいたので、大団円で良かったな…と思いましたね。

 

・キャラクター ~根の一族~

そして、味方以上に良い味を出して物語を盛り上げてくれたのが敵である根の一族の面々です。ボスキャラは骸骨や虫、植物を模した鬼だったり人の姿に化けていたり機械化していたりと多種多様で、全員とにかく不気味なデザインです。これは雑魚敵にも言えますが、ビジュアルから恐怖を抱かせることの出来る根の一族キャラデザは本当に秀逸です。

デザインは本当に怖いのですが、意外と普通に話せたりかっこよかったり、中にはコミカルなイベントまで用意されているキャラもおり、その温度差がまた魅力の一つだと思っています。先ほども話題に出した菊五郎は仲間キャラであるカブキ団十郎とライバルであり、フルボイスムービーで低レベルな言い争いをしたり何故か変装対決をしたりします。この対決はだんだん規模が大きくなり、最終的にはジェット機になったりしてましたね(笑)時代や設定を全部無視したはちゃめちゃっぷりに笑わせてもらいました。

 

もう一人印象的なのはデューク・ペペというキャラで、ビジュアルは小柄で弱そうな中年おじさんです。妻のマダム・バーバラと共に序盤のボスとして登場し(こちらは巨大でかなり怖い)、妻のサポートのような立ち位置で戦っておりましたが卍丸たちがバーバラを討伐、その後ペペはいなくなってしまいます。

あまりの影の薄さに普通に存在を忘れて冒険をしていたら中盤でまさかの再登場。最愛の妻の仇と襲い掛かって来るのですが、同時に「卍丸、愛してるよ」と謎ヤンデレ化してボロボロになりながらも追いかけられ、何度も戦う羽目になります。戦闘曲も狂気という感じで怖かったな…。挙句、力を求めて自らの身体を改造し最終的には機械化したペペと戦って終了します。

純粋さとわけわからなさが同居して最強に不気味でしたが、何故か憎めずむしろ愛着すら湧いていました…そのインパクトの大きさからか、案の定世間的にも人気キャラのようです(笑)

 

・戦闘難易度に心が折れかけた話

敵キャラに対する恐怖は見た目だけではありません。その戦闘力はそれはそれは凄まじいものでした…ボスはもちろん道中の雑魚敵もかなり強く、おまけにエンカウント率も高く雑魚相手に普通に全滅します。頻繁に全滅する前提で作られているからか、所持金が減る等のペナルティが無いのが救いでした。

初回プレイ時に私が積んだ理由もこれです(笑)出雲大社で序盤に倒してきたボス(の霊)と連続で再戦する、いわゆるボスラッシュ場面の難易度に屈してしばらく積んでしまったわけですね…。装備や技配置を見直しレベル上げをしても勝てず、沢山作戦を練っては一つずつ試して試行錯誤を繰り返し、ようやく突破出来ました。

この出雲大社もですが、セーブポイントからボスまでの道のりが長いのもまた苦労ポイントです。ボス戦のために技値を温存しつつ、強力な雑魚敵を蹴散らしながら進みボスに挑み敗北してまたセーブポイントから進み…の繰り返し。戻し作業の時間はなかなか苦痛でしたが、ボスを攻略した時の喜びはすごかったです。時短に特化した今のゲームではなかなか味わえない達成感ですね!

…と言いながら、私はゆとり仕様に慣れきってしまったストーリーを楽しみたい派のゲーマーなので昨今のゲームではイージーモード安定ですが(笑)たまにはこういう歯ごたえのあるゲームも良いのかもしれませんね。